ブラジル人起業家スペース:未来へ残す橋作り~起業するということ~

ブラジル政府は2018年、ブラジル人コミュニティにおける起業精神の応える形で、ブラジル外務省(MRE)を通じて、在浜松ブラジル総領事館はブラジル人起業家スペース(以下EEBという)を設立するという先駆的な取り組みを実施しました。これは、ブラジル国外では唯一の部署であり、無料でブラジル人に労働権利と義務についての情報発信をし、国内でビジネスの拡大を試みる小規模企業者 のサポートを目的としています。

 

 EEBでは、ブラジル人は個別に相談ができ、ビジネスをする上での疑問を解消することができます。具体的には、個人事業の開業手続き、商法に基づいた営業許可および認可、ビジネスプランの支援、銀行融資および税制度に関する情報、労働法および社会保障法に関する説明などが受けられます。 EEBは、担当者ヴァネッサ・ハンダ氏によって月曜日と火曜日の9時から15時まで行われており、対面(在浜松ブラジル総領事館5階)または電話(053-450-8130)そしてメール(empreender.hamamatsu@itamaraty.gov.br)での相談も承ています。

 

 起業の相談に加え、EEBは様々なセミナーやワークショップ、対面での研修など、イベントを通じて起業家コミュニティとのさまざまな交流会を主催しています。EEBは開設された年に日本で初めての起業に関する無料参加のイベントを開催しました。3日間にわたる講演会では、起業の立ち上げと経営、日本での事業活動の正規化、銀行からの融資、小規模事業向けの日本政府の助成金、日本および国際市場(ブラジル)についての情報、日本で成功を収めたブラジルの起業家からの体験談など、13名のゲストらが関連するトピックについて講義し、日本各地から100人以上方が参加しました。

 

 2019年には、EEBはブラジルの小規模企業者のための初のフェア「第1回 在日ブラジル人による起業家フェア」を開催しました。このフェアには小規模企業10社が出展し、それぞれが浜松市を代表する著名な方々や、商工会議所、地域銀行、日本財務公社(JFC)の代表、日本の起業家、イベントに参加した一般の人々に向けて自社の製品やサービスを紹介しました。小規模企業者がサービスと製品を日本の起業家や地域の起業支援機関に紹介することで、ブラジルの起業家、日本の企業家、潜在的な顧客やビジネスパートナーとのネットワーキングを拡大するためのビジネス環境を作ることが目的でした。

 

 2020年と2021年のコロナ禍の中で、EEBはニューノーマルに適応をする必要があり、オンラインでのイベントを開催しました。その中でも「世界のSebrae(セブラエ)ポータル」のリリースが注目を集めました。「Sebrae & Japão」プロジェクトとは、EEB /在浜松ブラジル総領事館とSebrae(ブラジル中小企業向け支援サービス)のイニシアティブで、ブラジル大使館と在名古屋ブラジル総領事館、在東京ブラジル総領事館の支援を受けて実施されました。このプロジェクト初期段階として、2021年7月17日完全オンラインも無料イベントである「世界のSebrae(セブラエ)ポータル」がリリースされ、Sebraeのユーチューブチャンネル内で開催されました。このWebセミナ―にはSebraeの会長であるカルロス・メレス氏が参加し、文化の普及における彼の機関の関わりを強調し、「Sebraeは世界中でビジネスを学びたいブラジル人を支援する」と述べました。 メレス氏はまた、EEBの貢献を強調しました。当時の在東京ブラジル大使エドゥアルド・サボイア大使は、「大使館の観点から、日本でのブラジルの起業家は両国の経済活動の強化において重要な資産です。訓練を受け、組織化されていれば、彼らは間違いなく、(両国の)距離を縮めるための新しい技術を駆使して、両国の経済活動を強化するための戦略的な存在であるでしょう」と述べました。

 

 日本の起業家コミュニティの需要に注目し、2022年と2023年にはEEBは特定のグループに向けて、興味・関心あるテーマ別のイベントを実施しました。2022年には飲食業界に焦点を当て、「ケーキ、お菓子、おつまみのビジネスをどのように立ち上げるか」というテーマで、EEB、在浜松ブラジル総領事館、パートナー企業それぞれのソーシャルメディアでライブ配信されました。 2023年9月には、「健康、美容、美容分野でビジネスを始める方法」というテーマが取り上げられ、マニキュア(ネイルデザイナー)、顔と体の美容、マッサージ、商業用の製品と機器の輸入手続き、それらの製品とサービスの市場状況に関するトピックが取り上げられました。このイベントには、事前に予約をした53人が参加し、6名のゲストが講演しました。

 

 この機会に、ヴァネッサ・ハンダ氏が小規模企業者の立ち上げについての講演を行い、日本の関連機関への企業登録に必要な事務手続き、小規模企業の経営管理と財務管理に関する問題、個人事業主向けの必須事項および推奨されるさまざまな保険について説明しました。

EEBは平均して月に約50件の相談を受けており、そのうちの4割は日本でのビジネスの始め方、小規模ビジネスの管理(経営、会計、税務)または融資と金融に関するものです。その他の相談としては労働法(労働契約など)、社会保障制度(社会保険)、年金制度などがあります。大抵の人は、週末や勤務時間外に副業としてビジネスを開始します。これまで(2018年~2023年9月)にも、日本での起業家の活動が増加していることが確認され、特にオンラインビジネス(衣類、個人用および家庭用品、化粧品)車の販売業、食品製造業、輸入および輸出業、健康や美容(マッサージ、ボディビルダー、マーシャルアーツ)といったサービス業、ホリスティックセラピーおよび作業療法に関連する業務、不動産業務(賃貸、販売、リフォーム、修理)などが挙げられます。また、企業に向けの技術やンサルティングサービスもございます。

 

 しかしながら、多くの起業家は、情報不足も相まって、不完全な状態でビジネスを展開し、市場でのより広い参加を予定していないのです。適切な情報がもたらす多くの利点や、日本での小規模ビジネスを始めるための大きなコストはかからず、場合によっては手続きも簡単であることはあまり知られていないのです。

 ブラジル人コミュニティの関心と相談件数の増加を背景に、個人事業主の数が急増しているという傾向が見受けられます。3年~4年前に自身の事業を開始した起業家が、法人としてビジネスを確立し、コミュニティだけでなく国際的な観客を相手に商売している人もいます。起業家は大きな成功を収める可能性があります。個人事業から法人への転換は、大きなステップです。しかし、特に商売の拡大を目指す場合、賢明に計画を立てて、注意深く行う必要があります。

一般的には、誠実さ(顧客が望むサービスを与える)以上のものを提供することが目的であり、それに加え顧客とパートナーの実際の要求を理解し、その製品とサービスを通じて彼らの生活とビジネスを変える感性を持つことです。

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